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 僕の家族は仲良し家族だ。
僕は大学生、妹は高校生になったけれど家族4人、とても仲が良い。

 何といっても、家族団欒の夕食の時間が僕は周りの友達に自慢できる。
さすがに毎日一緒に夕食を食べるのは、父の仕事の都合や、妹の予備校の都合で難しいから、日曜日の夜だけは夜7時にテーブル着席厳守が、我が家のいつからかの慣習のようなものになっている。
父の「えーと、それでは・・・」のおきまりの合図と共に、家族4人で声を揃えて「いただきます」を言う。
母は父のグラスにキンキンに冷えたビールを注ぎ、僕と妹はさっそく料理のほうに取り掛かる。たいてい日曜日は母と妹の共作料理のことが多いので、妹はいかに作るのが難しかったかだとか、料理の手順だとかを口うるさく僕に説明してくる。
この間の「ブリ大根」を作ったときは、ブリの下処理がいかに大切なのかを延々と喋っていた。
喋り終わった頃には、もうブリ大根が売り切れてしまっていたほど長かった。
ちょっとうざったいけれど、なければないで寂しいとはこのことだと僕は知っている。

 そして、ビールを半分ほど飲みほした父は、「学校はどうだ。面白いか?」と飽きもしないで僕と妹に毎回、学校での話を聞いてくる。
一週間やそこらじゃ、わざわざ話す程の面白いことなんてなかなかないのに。それでも僕と妹は頭を捻って、替わりばんこに何かしらの話をする。
先週の僕がした話は、ブヨブヨに太っていた教授が病気で入院して、半年ぶりに大学に復帰したら激痩せしていたという話だった。
これはなかなかウケたので、高校時代の友達にもしてやろうと思う。それより、今週する話がまだないので何か考えておかないと。
今度からは何かあったら、忘れないようメモでもとっておこうかとも考えるが、なんだか売れていない必死な芸人みたいだから、それはやめておこうと思う。

 妹と僕による学校での話がひと段落すると、父は自分の話をはじめる。
それは、会社での話だったり、僕らぐらいの年頃のときの話、そして酔いがまわってくると、母と結婚する前、つまり恋人だったときの話などをよくする。
どの話にも基本的にオチがなくて、父が話終わったあとに妹が「えー、それでオチは?」だとか文句を言うのだが、母との話だけは僕も妹も楽しみにしている。
父が母との話をはじめると、普段は口数の少ない母が急によく喋るようになって、父の話に「それは、そうじゃなくて・・・」と割り込んで話を訂正したり、顔を赤らめてモジモジしたりと反応がとにかく面白いのだ。
父もそのイキイキしている母を見るのが嬉しくて、こっ恥ずかしい話をわざとしているのかもしれない。

 最後にこの文章にオチをつけるならば、父と母は5年前に離婚していて別々に暮らしている。父は酒に溺れ体を壊し、母は新しい男を作ったのだ。妹は今年せっかく入れた高校を中退して定時制高校に通いたいと言い張り、登校拒否を続けている。家の中は、めちゃくちゃだ。そして僕は・・・。

高野 徹

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