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実験が紹介されてます。
序文は賛成派体験談。

「いささか旧聞に属することで恐縮だが、何かのラジオ番組で「私の想い出の味」を投稿するというようなコーナーがあった。

のんびりした雰囲気はたぶんNHKだったと思うが、ある時カーラジオでたまたま聴いていた筆者は、その内容に突然異質なものが混じり込んだのを感じ取った。

聴取者の投稿にこういうものがあったからだ。

「スタッフの皆様、お変わりありませんか。
いつも楽しみに聴いているこのコーナーですが、私にも忘れられない想い出の味があります。
それは子供の頃、父が作ってくれた『地獄鍋』なんです。
名前はとってもおどろおどろしいのですが、庶民の知恵とでも言うものが感じられる料理でした。
父は近所の小川でドジョウを取ってきて泥を吐かせ、それを生きたまま土鍋にいれて、弱火にかけるのです。
子供心に
『なんて残酷なことをするんだ』
と思ったものです。
『ドジョウがかわいそうだ』
と父に言うと、父は優しく
『魚たちは美味しい食べ物になることで本当に天国に行けるんだよ』
と言ってくれたものでした。
お湯が熱くなりはじめてドジョウたちが暴れだすと、父はそこにさっと冷たい豆腐をいれ、一気に火を強くします。
そうするとドジョウたちは冷たい豆腐に潜り込み、そこで豆腐と一緒にじつにうまい具合に煮えるのです。
父は秘伝のだしと醤油や酒を加えて、そのドジョウが潜り込んだ豆腐を絶妙の味に仕上げてくれました。
『ドジョウさんごめんなさいね』
と心の中でわびながら、何杯もお代わりしたものでした。
あれを作ってくれた父も亡くなってもう10何年かになります。
作り方をちゃんと聞くことがなかったのが残念です。
私ももう孫が何人も出来る歳になりました。
頑張ってあの味を再現して、孫たちにご馳走してあげようと思う今日この頃です」

ほのぼのとした語り口と、バッドテイストな内容のミスマッチが、ギャグとしてではなくそのまま流される異様な雰囲気ではあったのだが、アナウンサーたちはごく普通の投稿としてそれに対処しようとしていた。

さすがにコメントは多少ぎこちなくなるのは避けられなかったようだが。

「い、以上、T県O郡の**さん69才からでした…。『地獄鍋』ですか…。田中さん、食べたことあります?」
「い、いえ、私は…。作り方とても難しそうですね。青木さんはどうです?」
「なんか聞いたことはあるんですけれど…。実際にこう、食べておられる方の話は初めてですね…。火加減がね…。難しそうですね…。確かに。」
「…。この方も、是非再現されてお孫さんたちにご馳走できたら良いですね…。」
「……。で、では次のお葉書を…。」

嵐山光三郎氏が書いた料理の本にこの「地獄鍋」挑戦記があって、凝り性の彼は様々に条件を変えてこれを作るべく長期間実験したそうだ。
その結論は「これはウソ」というもの。
どういう風にやろうとドジョウが豆腐に入り込んで、そこで煮えるなどと言うようなことはないのだそうだ。
たまにすーと豆腐に潜り込む奴がいても、そのまま出て来てしまうらしい。
「ここが適温」と思って細かく移動するような知覚運動制御がドジョウに出来るはずがないというような専門家の意見も別のところで見た。
嵐山氏や一人二人の専門家の言うことだけで否定しきれるのか、と言われるかもしれない。
しかし、これだけマスコミでグルメ番組やそれとリンクした御当地紹介番組が氾濫している時代に、そんな料理見たことある人がいるだろうか。

筆者はその手の情報にはつねに目を光らせているが、これを名物料理として供する店など聞いたことがない。
世の中には「秘伝」としか言えないものを会得している人がいるのは事実なのだが、豆腐にドジョウを閉じこめてうまく煮あげる技術は少なくとも一般には存在し得ないようだ。
(本当にこの技術をおもちの方は是非連絡してほしい。
追試して「料理」の方にアップしたい)

では筆者が聞いたあの投稿は何だったのだろう。
願わくば、投稿者の方がこの伝説的料理の存在をいつの間にか自分の生活史に組み込んでしまっただけの、エピソード的過誤であってほしいと思う。

確信犯的虚言投稿とは思いたくない。

子供たちに秘伝の料理を作ってくれる優しい父親、その想い出を温めつつ、孫に囲まれる幸せなおばあちゃん、それらすべての存在もむなしくなるのではあまりに寂しいからだ。
現実とも伝説ともつかぬ多元的世界に人が生きていることの証拠として、あの投稿を捉えるのがもっとも豊かな態度であろう。(2000/02/05)

#医学都市伝説とは言えないし、ほかのエピソードとも少々性質が違うこの話題を取り上げたのは、ここの記事を読んで頂いたある方からのメールが動機になっている。
この方は筆者が2回もしつこく取り上げた「●(本文参照)けいれん伝説」に関連して、あるラジオ番組でコメント係の医師がこの状態のカップルをみたと述べていたという情報をよせられた。
とても又聞きの話とは思えなかったとも。
筆者はたとえTVであろうがその著書の中であろうが、この伝説通りの現象を見たと主張する人がいれば、それは伝説を事実と誤認した上での罪のないホラであると言い切れるので、そのように返事し、その目撃談もあまりに定型的で"Too good to be true"の代表のようなものであること、その医師がやったという医学的処置も専門的に見ればちょっとおかしいことも書かせてもらった。
その時、どうも自分でも似たような体験があるな、と思い出したのが上の投稿だった、というわけだ。

*筆者の父親は公務員の土木技官で、高度成長初期、日本各地でやられていたダム建設の設計監督を担当していた。
現場にもよく出かけていて、いわゆる「飯場」で寝泊まりすることも多かった。
ある時そこで供される伝説的料理の話をしてくれたことがある。鍋に米を入れて炊き、程々に炊きあがりかけたところで、山でつかまえてきたマムシを放り込む。
鍋の蓋には直径2~3cmの穴が空けてあり、そのうち鍋の熱さにまいったマムシがそこからふらふらと首を出してくるので、それをぐっとつかまえてうまくしごくと、骨だけが抜けて身が残るので、かき混ぜて、醤油と酒で味付けして蒸らすと美味しいマムシご飯ができあがるというのだ。筆者はかなり長いこと本当だと信じていた。

&気になったので嵐山氏の本をもう一度確認してみた
(「素人包丁記」講談社文庫)。
するといろいろ試したがうまくいかないのでうそだと思っていたら、ある好事家から詳しく教えてもらい、再度挑戦したとある。
ただしやはりうまくいかない。
これはドジョウの問題だ、という話になっていた。
野生のものにくらべて、養殖では泥にもぐるノウハウをドジョウのほうが忘れているというのだ。
かの玉村豊男氏のアドバイスを得てもやはりうまくいかなかったと言う。
何やかやで最後はうまく行ったと言うのだが、どうも書き方があいまいだ。
ほとんど煮えかけているのを人力で押し込むという方法を取ったとしか思えない。
ここでは完全に伝説であるようなことを書いたが、人によれば似た状態は作れるということかも。
ただ、嵐山氏の結論は
「あまり、うまいものではなかった」
というもの。
少なくともこれがうまいものだ、というのが伝説であることは間違いない。嵐山氏はさらに、
「ドジョウが自ら開きになりつつ、豆腐に入り込むときにポイと骨を外に捨ててくれれば」
よいと続けている。それは何ぼなんでも無理だろう。(この項2000/02/09追加)」

参考資料;
都市伝説4

どじょう基本編
どじょう地獄試食大会まとめ
落語「どぜう地獄」
 

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