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最近、文芸部の部屋には人が来ない。


僕がまだ一年の頃、部室にはいつも仲の良い先輩たちが居て、とてもにぎやかだった。
しかし僕が二年になり、季節が巡るにつれて人はいなくなった。
講義の合間、やることも無くただただ部室へ足を運ぶが、いつも誰もいない。
もしかして自分がいないときに来ているのか?
そう思い、夜明けから深夜まで待っていても、誰も来ない。
月曜から金曜まで、ずっと待っていても来ない。
そうして一月が過ぎようとした頃、ふと気が付いた。
―――同じ学年の仲間は皆、時間に追われている。
自分だけポツンと取り残されたと感じた。
そして、少しだけ寂しくなった。
こんなとき、僕は一人、部室で焚き火をする。
過去の部誌を火にくべながらウィスキーを舐め、瑣末なことに思いを巡らせると、
とても満足した気持ちになる。
人は火を見ると安心するのだ。
そしてこういうときに僕は想う。

時を止められたら何をしようか、と。

よくテレビの中で、秘伝のタレを売りにしている焼き鳥屋が登場する。
そういった店は大抵、先祖代々継ぎ足しながら今のタレがあることを自慢するが、
果たして虫なんかの異物は混入しないのか。
店頭にラップもせず並べていても大丈夫なのか。
幾つ、夏を越えてきたのか。
そう考えるにつれ、僕を悩ませる秘伝のタレが憎く思えてきた。
僕はいつか、2分ほど時が止められるようになったら、
タレの中にマヨネーズをブリブリ入れ、台無しにしたい。
あるいはお酢を半升ほど入れて、客足が急激に遠のく味にしたい。
いつか時が止められたら、そうしよう。
僕は誓った。

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