知らないまち3

公園を出て、少し歩く。
あまり記憶にない家々が並んでいる。

この道を通って来たのか？

少し不安になったので、公園に戻ってみることにした。

よく見ると、公園は、真四角で、左右上下対称だった。
真ん中に少し大きな砂場がある。
一方の角に水道の蛇口があり、四辺にベンチだ。

方向の区別は蛇口でしかできないが、さっきここに来たときに、どの方向から入ったのか、全く思い出せない。

しかたがないので、戻った時に入った入口の左手から出てみる。
正面に真直ぐの道があり、左右には、大きな家がそびえている。
上り坂で、頂上がすぐそこに見える。その先はわからない。

ここに来た時に、坂を下りた記憶もないが、迷い方にも決まりがないと、広い牢屋に自ら飛び込むことになる。

意を決し、上ってみる。

ゆるやかに見えた坂は、かなりこたえた。
誤って羽織ってきてしまった上着も暑苦しくて邪魔だ。
頂上より、向こうの方に大きな山が見える。
どらえモンに出てくる、学校の裏山そっくりだ。

坂の頂上より、少し進み、少し下る。

そこで曲がってしまったのがいけなかった。
山を右手にし、左に曲がる。

他と変わらぬ家々が、延々と連なっている。

やばい！

と思った時は、もう遅かった。

急いで先ほどの頂上に戻り、来た道を振り返ってみる。

そこに、あの公園はなかった。

知らない街トップ