×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ベンチがあったので、小休止。
少し暑い。
何人かの子供が砂場で遊んでいるのが見える。
少し暑い。
何人かの子供が砂場で遊んでいるのが見える。
女の子が三人、男の子が一人。
よく見ると、男の子がからかわれているようだ。
男の子の方が体が小さい。
きっと年下なのだろう。
しかし、どうも自然でない。
やり方が執拗なのだ。
坊やが砂で穴を掘り、山を作る。
女の子は、三人でままごとをし、坊やを仲間外れにする。
そこまでなら、まあ普通だろう。
しかし、その会話は、少し奇妙だった。
「わかいおとこのひとってやあねぇ、おんなのひとのおしりばっかりみてるし。
あそこのいえのだんなさんも、さいきん"ちかん"でつかまったって」
「そうそう、こわいわよねえ。
けっきょくあのひとがやったんじゃないってことになって、どうにか"しゃくほう"されたけど、ないしょでおかねをはらったんじゃないかって」
「きいたわ!
もうあたし、あのひととおなじ"でんしゃ"にのらないようにする!
まだスーパーあいてるかな?」
「それはあたしのセリフよ!
ねぇね、まだスーパーやってるかなぁ?」
「ちょうど"とくばい"のじかんのはず...いそぐわよ!」
そう言って、砂場の中を小走りに駆ける。
三人で、小さな砂場をぐるっと回る。
回るついでに、一人の女の子が、男の子が作っていた山に蹴りを入れる。
水で固め、"トンネル"を掘り始めていた山は、あっけなく崩れた。
男の子は、怒った素振りも見せず、砂に水をかけ、崩れた山の上に再び盛る。
トンネルは、また作りなおしだ。
別の女の子が、今度は水の溜まったバケツを蹴飛ばす。
水は、残らずこぼれてしまった。
男の子は、水が流れ、黒く固まった砂を、丁寧にすくい上げ、山の上にのせる。
しっかり固めてから、またトンネルを掘り始める。
女の子たちは、また砂場の"へり"に座り、ごっこ遊びを続ける。
「ばんごはん、うちでたべていかない?
いつもひとりだと、さみしいのよ。」
「あたし、いこうっと。
さいきん"かれ"おそいし、まってるとつかれちゃうもん。」
「ようこちゃんは?」
「あたしもいくぅ!
うちはねぇ、じぶんの"ごはん"はじぶんでつくるってきめてるの!」
そう言って、今度は坊やの新しく汲んできた水を足もとの砂にぶちまけ、団子を作り始める。
男の子は、空になったバケツを持ち、また水を汲みに行く。
少し離れた角に水道の蛇口があり、戻って来るまでに時間がかかる。
その間に、女の子たちは水で固められた山から、砂をごっそりとる。
山は今にも崩れそうだ。
わたしは、あまりにも我慢が出来なくなって立ち上がる。
立ち上がって、ムッっと恐そうな顔を作る。
すると、気配を感じたらしく、男の子を含め、子供たちが一斉に顔を上げ、警戒した目でこちらを見上げる。
私はそこであきらめてしまった。
前にも似たようなことがあったからだ。
その日もある知らない街を歩き、公園のベンチに腰かけていた。
そこでは、小さな男の子四人が遊んでいた。
やがて、一人の男の子が壁に追いやられ、押され、蹴りを入れられる。
それがだんだん酷くなってくる。
かわいそうになって、止めようと近づいたところ、突然、四人とも、それまでの役回りを忘れたかのように、サッと表情を変え、いなくなってしまった。
家に帰ったか、遊ぶ場所を変えたのだろう。
別に攫うつもりもなかったし、鬼ごっこをする気もなかったので、その日はそのまま帰った。
帰る途中、すれ違う人々みんなに睨まれるのが、どうにも気分よくなかった。
このような住宅街は、俗に言うムラである。
人々は、昼は都会で働き、夜に帰って来て自宅で寝る。
祭りも何も無い。
小学校の運動会は、花火も無く、大した宣伝もされず、秘かに終わる。
しかし、住民同士の結びつきは意外に強い。
或る街は、料金を分担して警備会社に委託し、一日に何度も警備員を巡回させる。
ひどいと、回りを"塀"で囲ってしまう街もある。
人はおろか、犬でさえも、見知らぬ者が入れば、すぐに厳戒態勢に入る。
日がのびたので、まだ明るかったが、帰ることにした。
知らない街3
知らない街トップ
よく見ると、男の子がからかわれているようだ。
男の子の方が体が小さい。
きっと年下なのだろう。
しかし、どうも自然でない。
やり方が執拗なのだ。
坊やが砂で穴を掘り、山を作る。
女の子は、三人でままごとをし、坊やを仲間外れにする。
そこまでなら、まあ普通だろう。
しかし、その会話は、少し奇妙だった。
「わかいおとこのひとってやあねぇ、おんなのひとのおしりばっかりみてるし。
あそこのいえのだんなさんも、さいきん"ちかん"でつかまったって」
「そうそう、こわいわよねえ。
けっきょくあのひとがやったんじゃないってことになって、どうにか"しゃくほう"されたけど、ないしょでおかねをはらったんじゃないかって」
「きいたわ!
もうあたし、あのひととおなじ"でんしゃ"にのらないようにする!
まだスーパーあいてるかな?」
「それはあたしのセリフよ!
ねぇね、まだスーパーやってるかなぁ?」
「ちょうど"とくばい"のじかんのはず...いそぐわよ!」
そう言って、砂場の中を小走りに駆ける。
三人で、小さな砂場をぐるっと回る。
回るついでに、一人の女の子が、男の子が作っていた山に蹴りを入れる。
水で固め、"トンネル"を掘り始めていた山は、あっけなく崩れた。
男の子は、怒った素振りも見せず、砂に水をかけ、崩れた山の上に再び盛る。
トンネルは、また作りなおしだ。
別の女の子が、今度は水の溜まったバケツを蹴飛ばす。
水は、残らずこぼれてしまった。
男の子は、水が流れ、黒く固まった砂を、丁寧にすくい上げ、山の上にのせる。
しっかり固めてから、またトンネルを掘り始める。
女の子たちは、また砂場の"へり"に座り、ごっこ遊びを続ける。
「ばんごはん、うちでたべていかない?
いつもひとりだと、さみしいのよ。」
「あたし、いこうっと。
さいきん"かれ"おそいし、まってるとつかれちゃうもん。」
「ようこちゃんは?」
「あたしもいくぅ!
うちはねぇ、じぶんの"ごはん"はじぶんでつくるってきめてるの!」
そう言って、今度は坊やの新しく汲んできた水を足もとの砂にぶちまけ、団子を作り始める。
男の子は、空になったバケツを持ち、また水を汲みに行く。
少し離れた角に水道の蛇口があり、戻って来るまでに時間がかかる。
その間に、女の子たちは水で固められた山から、砂をごっそりとる。
山は今にも崩れそうだ。
わたしは、あまりにも我慢が出来なくなって立ち上がる。
立ち上がって、ムッっと恐そうな顔を作る。
すると、気配を感じたらしく、男の子を含め、子供たちが一斉に顔を上げ、警戒した目でこちらを見上げる。
私はそこであきらめてしまった。
前にも似たようなことがあったからだ。
その日もある知らない街を歩き、公園のベンチに腰かけていた。
そこでは、小さな男の子四人が遊んでいた。
やがて、一人の男の子が壁に追いやられ、押され、蹴りを入れられる。
それがだんだん酷くなってくる。
かわいそうになって、止めようと近づいたところ、突然、四人とも、それまでの役回りを忘れたかのように、サッと表情を変え、いなくなってしまった。
家に帰ったか、遊ぶ場所を変えたのだろう。
別に攫うつもりもなかったし、鬼ごっこをする気もなかったので、その日はそのまま帰った。
帰る途中、すれ違う人々みんなに睨まれるのが、どうにも気分よくなかった。
このような住宅街は、俗に言うムラである。
人々は、昼は都会で働き、夜に帰って来て自宅で寝る。
祭りも何も無い。
小学校の運動会は、花火も無く、大した宣伝もされず、秘かに終わる。
しかし、住民同士の結びつきは意外に強い。
或る街は、料金を分担して警備会社に委託し、一日に何度も警備員を巡回させる。
ひどいと、回りを"塀"で囲ってしまう街もある。
人はおろか、犬でさえも、見知らぬ者が入れば、すぐに厳戒態勢に入る。
日がのびたので、まだ明るかったが、帰ることにした。
知らない街3
知らない街トップ
PR
この記事にコメントする